剣客商売

「剣客商売(けんかくしょうばい)」は、小説新潮に連載されていた、池波小説の代表作の一つです。
主人公は、無外流の達人、秋山小兵衛(あきやまこへい)とその息子、 大治郎(だいじろう)です。
時代背景としては、田沼意次の時代で、その田沼意次自身や娘の三冬を主人公の二人に絡ませながら
数々の事件や出来事が展開されていきます。鬼平犯科帳のように盗賊改めと盗賊と言う枠が無い分、
話のヴァリエーションが広く、奔放さが有ります。

「剣客商売」第一回放送速報
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剣客商売一覧表 登場人物 おいしそうなもの


単行本題名発表年月収録作品
剣客商売 s48.01 女武芸者 剣の誓約 芸者変転 井関道場四天王
雨の鈴鹿川 まゆ墨の金ちゃん 御老中毒殺
辻斬り s48.05 鬼熊酒屋 辻斬り 老虎 悪い虫
三冬の乳房 妖怪・小雨坊 不二楼・蘭の間
陽炎の男 s48.12 東海道・見付宿 赤い富士 陽炎の男 嘘の皮
兎と熊 婚礼の夜 深川十万坪
天魔 s49.08 雷神 箱根細工 夫婦浪人 天魔
約束金二十両 鰻坊主 突発 老僧狂乱
白い鬼 s50.02
白い鬼 西村屋お小夜 手裏剣お秀 暗殺
雨避け小兵衛 三冬の縁談 たのまれた男
新妻 s51.03 鷲鼻の武士 品川お匙屋敷 川越中納言 新妻
金貸し幸右衛門 いのちの畳針 道場破り
隠れ蓑 s51.10 春愁 徳どん、逃げろ 隠れ蓑 梅雨の柚の花
大江戸ゆばり組 越後屋騒ぎ 決闘・高田の馬場
狂乱 s52.05 毒婦 狐雨 狂乱 仁三郎の顔
女と男 秋の炬燵

待ち伏せ s53.04 待ち伏せ 小さな茄子二つ ある日の小兵衛 秘密
討たれ庄三郎 冬木立 剣の命脈

春の嵐 s53.10 **長編** 除夜の客 寒頭巾 善光寺・境内
頭巾が襲う 名残りの雪 一橋控屋敷 老いの鶯
勝負 s54.11 剣の師弟 勝負 初孫命名 その日の三冬
時雨蕎麦 助太刀 小判二十両
十番斬り s55.09 白い猫 密通浪人 浮寝鳥 十番斬り
同門の酒 逃げる人 罪ほろぼし
波紋 s58.11 消えた女 波紋 剣士変貌
夕紅大川橋


暗殺者

二十番勝負 未確認

ないしょないしょs63.09 剣客商売シリーズではないが秋山小兵衛が登場する


剣客商売登場人物

剣客商売は、世の中の裏も表も知り尽くした秋山小兵衛と、
これから剣術を商売に世を渡ろうとしている若い秋山大治郎という 二人の親子剣客を中心に進められていきます。
登場人物は割合シンプルですが、池波さんの筆力もあって個性的な人物がたくさん現れます。

秋山小兵衛関連者
人物名 初登場作品 解説
秋山小兵衛
あきやまこへい
主人公・全編 無外流の達人。第一線の剣術界からは引退し、鐘ヶ淵の小さな家に40歳も年下の 女房と二人暮らしをしている。59歳。大治郎の胸位までの小柄な体躯を持つ。数年 前迄は剣術一筋だったが「人が変わったように」なり、剣術界を離れている。
秋山大治郎
あきやまだいじろう
主人公・全編 秋山小兵衛の独り息子。24歳。巌のような体格、濃い眉を持つ。浅草、真崎 稲荷明神社の近くに、15坪ほど飲む外流剣術道場を構えている。6年に及ぶ剣術 修行の旅から戻ってきたばかりで、弟子がいない。
おはる
おはる
全編 秋山小兵衛の女房。40歳年下で19歳。秋山小兵衛の四谷の道場で 下女をしていたが、秋山小兵衛が手をつけた。関屋村の農家岩五郎の娘で、粗野なところが 有るが次第に成長していくのが解る。
佐々木三冬
ささきみふゆ
全編 老中田沼意次の妾腹のむすめ。市ヶ谷の井関忠八郎の道場で四天王と呼ばれるほどの剣の達人。自分の夫は自分と試合をして勝つ者でなければいけないとの条件を付けたほど。最初秋山小兵衛にあこがれるが、後に秋山大治郎の妻になる。
田沼意次
たぬまおきつぐ
女武芸者 ご存知、賄賂政治で名高い老中。ただし、剣客商売の中ではその辺の話は出てこず、佐々木三冬の父あるいは武芸を好み秋山小兵衛のよき協力者として登場する。
四谷の弥七
よつやのやしち
全編 四谷・伝馬町の御用聞き。かつて、秋山小兵衛の道場に通い剣術を学んだ まじめ一方の御用聞き。女房に「武蔵屋」と言う料理屋をやらせ、本人は御用一筋に打ち込ん でいる。秋山小兵衛を助け数々の事件の解決に協力している。
牛堀九万之助
うしぼりくまのすけ
女武芸者 浅草・元鳥越町で奥山念流の道場を開いている。道場は小さいが名門の子弟が門人に多い。秋山小兵衛と以前試合をした事があり引き分けている。
嶋岡礼蔵
しまおかれいぞう
剣の誓約 秋山小兵衛の弟弟子に当たり、無外流の辻平右衛門の道場で共に剣を学んだ。平右衛門に従い山城の国・大原の里に引きこもったが大治郎はここで5年間の剣の修行を積んでいる。柿本源七郎との試合のため江戸に出てきたが柿本の弟子・伊藤三弥に弓で打たれ死亡する。
伊藤三弥
いとうさんや
剣の誓約 柿本源七郎の弟子であり、色子でもある。約束の試合をしにきた嶋岡礼蔵を弓で殺害した。この時、大治郎の剣により右腕を切断されたが行方をくらませ、後に腹違いの弟と共に復讐に現れる。
おもと 長次
おもと ちょうじ
芸者変転 秋山小兵衛がいきつけの浅草・橋場の料亭「不二楼」の座敷女中と料理人。数々の事件の舞台として不二楼が登場し、この二人が事件に関わることも多い。二人は夫婦になり小料理「元長」を始める。
井上八郎
いのうえはちろう
雨の鈴鹿川 秋山大治郎が辻平右衛門のもとで修行中知り合った浪人。井上の恩師の子息が仇もちとなっていたのを大治郎と共に助太刀し、返り討ちにした。
三浦金太郎
みうらきんたろう
まゆ墨の金ちゃん 牛堀九万之助の居候。白粉や、まゆ墨を塗る女のような男だが剣術の腕は立つ。大治郎を襲う浪人の仲間になり情報を流す。剣士としての感情を押さえ切れず大治郎に挑み敗れる。
小川宗哲
おがわそうてつ
御老中毒殺 本所・亀沢町に住む町医者。身分の上下に関わらない診察と治療を行い本所界隈では名声が高い。小兵衛とは15年来の親交があり、秋山親子に関わるさまざまな事件解決に登場する。


剣客商売おいしいもの

剣客商売の秋山小兵衛は、なかなか舌が肥えています。やたらと高いものを食べると言うわけでは有りませが、
旬の食物を、その持ち味を生かして食べる事が多いようです。さらに若い女房のおはるは農家の娘ですから、旬の
食物が手に入りやすく、料理の腕も秋山小兵衛に教えられ次第にあがったようです。

食べ物 初登場作品 解   説
根深汁と麦飯
ねぶかじるとむぎめし
女武芸者
おんなぶげいしゃ
根深汁とは、私たちにもお馴染みの「ねぎの味噌汁」です。 剣客商売第一作の冒頭での、秋山大治郎の夕飯のシーンで出てきます。
「根深汁で飯を食べはじめた彼の両眼は童児のごとく無邪気なものであって、ふとやかな鼻は たのしげに汁のにおいを嗅ぎ、厚い唇はたきあがったばかりの麦飯をうけいれることに専念 しきっているかのようだ。」この一節で、秋山大治郎の全てが解ってしまうような、人間の飯の 食べ方が全て解ってしまうような、そんな気がしませんか。
田螺の味噌汁
たにしのみそしる
剣の誓約
けんのせいやく
いつもいつも根深汁と麦飯で食事をしていた秋山大治郎が思わず「うまい」といったのは、手伝いの女房が心づくしの田螺の味噌汁であった。
田螺というのは、あの、池にいる田螺の事ですが、私は食べて事がありません。秋山小兵衛によると「蜆汁よりうまいとおもうな」ということだそうです。どなたか食べた事のある方いませんか?

なまず
井関道場・四天王
いせきどうじょう・してんのう
鯰を食べたことがありませんのでよく分かりませんが、秋山小兵衛による食べ方を説明しますと、「おろして熱い湯をかけてな、皮つきのまま削身にして・・・ぬめりをのぞいてから割醤油(わりした)で煮ながら食おうよ」となります。


剣客商売第一回目放映速報

 いよいよ剣客商売が放送開始になりました。 我々池波ファンにとっては期待するところが大きい放送であります。とりあえず放送内容について、概要と感想などの速報をお届けします。 なお、文中の敬称は省略させていただいております。また、感想等は全くの私見ですので、一部不快を感じる方もいらっしゃるかもしれませんがご容赦ください。

放送日 題名 全体概要・感想
1998.10.14(水)
19:30〜21:00
剣客商売
(けんかくしょうばい)
父と子と
原作での題名は「女武芸者」です。シリーズの第一作であり、ストーリーは概ねTV放送されたものと同一です。(細部では若干の増減があります)各登場者の紹介や時代背景を紹介するところも同じです。
放送での最初に配役を流しますが、ここでのバックの画像構成は鬼平犯科帳のエンディングと同じく江戸の四季の風景を流しています。鬼平のファンにはいきなり嬉しい画像かもしれません。鬼平と同じといえば、役者でも同じ人が沢山います。梶芽衣子、真田健一郎、江戸屋猫八、江戸屋まねき猫などでしょうか。 作成側も鬼平を意識しているとしかおもえませんが、これが良い事なのかどうかは皆さんそれぞれ感想が異なるところだと思います。
良く知られている役者としては藤田まことや竜雷太、平幹二郎の各氏が出ておられますが、どうしても気になるのは竜雷太の牛堀九万之助です。放送の頭に田沼意次の御前試合があり、牛堀は審判をしていましたが、この時の「一本」とか「勝負合った」の声が私には滑稽に聞こえて思わず首を振ってしまいました。言葉が妙に濁っている、 重厚差を出そうとしたのかも知れませんが、歯切れが悪くモッタリした感じで笑ってしまいました。
可笑しかったのはもう一つ佐々木三冬が颯爽と町町中を歩くシーンですが妙に袴が似合わない、よく見ると袴の位置が高すぎるか、全体としてバランスが可笑しい感じがしました。これも笑えました。
良かった点としては、絵の作りが非常に丁寧で手を抜いていないところ、例えば何気ない町角の風景に物売りの声を入れてみたり、小船を葦の原の中を走らせたり、白壁を崩してみたり・・・などです。これはいいですね。
もう一つ、良かったのはみんな殺陣がうまかったという事です。藤田まことは当然としても、秋山大治郎や三冬も良かったと思います。かなり力を入れて稽古したんではないでしょうか。何といっても殺陣は時代劇の花ですから。

好き勝手に書いていますが、あくまでも池波ファンの原作小説を中心にした私見ですのでご容赦ください。次回以降も楽しみにしたいと思います。

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役名 役者名 感想
秋山小兵衛
あきやまこへい
藤田まこと
ふじたまこと
ご存知、「剣客商売」の主人公。原作によると「白髪頭で、息子秋山大治郎と並び立つと秋山大治郎の胸のあたりにようやくとどき、女房のおはると比べても、母親と子供くらいに感じる。」とあります。どうも藤田まことの秋山小兵衛は立派すぎるような気がします。役者としての藤田まことは一流である事は間違いありませんので、これからどう原作に近づくかあるいは藤田流の演技で原作を彷彿とさせる秋山小兵衛を作っていくのか楽しみです。
秋山大治郎
あきやまだいじろう
渡部篤郎
わたべあつろう
ご存知、「剣客商売」の準主人公。原作によると「まるで巌のようにたくましい体躯のもちぬしなのだが24歳の年齢より若く見え、浅ぐろくてなめし皮を張り詰めたような皮膚の照りであった。」とあります。どうも渡部はスマートすぎるような気がします。巌のような・・というのと比べるとです。
佐々木三冬
ささきみふゆ
大路恵美
????
佐々木三冬は「剣客商売」の中でも特異な存在で、いわば華やかな彩りであると思ってます(特にシリーズの前半は)。三冬のいない「剣客商売」は色が無くなる感じがしています。そんな風な三冬としては、この大路という人はある意味で合っていると思いますが、画面で見た袴姿がなぜかおかしい、袴の位置が上すぎたのではないでしょうか?。ただこの人でちょっと安心したのは殺陣ができていた事です。ふらふらした殺陣ではしょうがないなと思っていましたが、実際は腰が落ち着いていて、流れもギクシャクしていなかったと思います。
おはる
おはる
小林綾子
こばやしあやこ
おはるは庶民側の象徴のようなものだと思います。剣術の名人やら武士ばかりのいわば当時の上流階級ばかりでは話の広がりが無くなってしまうのを防いでいます。原作でも思い切り庶民的ですが、TVではそこまで徹底していないようで、ちょっと上品になっています。三冬との対比という意味でももっと思い切りサッパリとさせれば良かったと思います。
浅田虎次郎
あさだとらじろう
遠藤憲一
えんどうけんいち
シリーズものとして今回限りの登場になりますが、この浅田は良かったと思います。原作より扱いが詳細になっていますし、役者さんも良かったと思います。
四谷の弥七
よつやのやしち
三浦浩一
みうらこういち
作成中。
笠屋の徳次郎
かさやのとくじろう
山内としお
やまうちとしお
作成中。
おみね
おみね
佐藤恵利
さとうえり
作成中。
長次
ちょうじ
木村元
きむらもと?
作成中。
おもと
おもと
梶芽衣子
かじめいこ
作成中。
田沼意次
たぬまおきつぐ
平幹二朗
ひらみきじろう
作成中。
生島次郎太夫
いくしまじろうだゆう
真田健一郎
さなだけんいちろう
作成中。
牛堀九万之助
うしぼりくまのすけ
竜雷太
りゅうらいた
作成中。
嘉助
かすけ
江戸屋猫八
えどやねこはち
作成中。
およね
およね
江戸屋まねき猫
えどやまねきねこ
作成中。