アサリを使った海水魚餌付け方法 (2001.07.21)

 なかなか餌付かない海水魚を人工の飼料に餌付かせるための方法をご紹介します。 本来、自然の海の中で自由に食料を捕っていた海水魚を水槽で飼おうとするわけですから、本質的に無理があるのを自覚しておきましょう。 それでも、飼育する以上長生きをしてもらいたいのが人情ですからその基本となる食べ物は人工のものに切り替えましょう。 自然の海ではない水槽での飼育では人工飼料が最も優れた食べ物であると思います。 

冷凍したアサリ
左の画像は冷凍したアサリとこれを二つ割にしたものです。 例えばチョウチョウウオとかヤッコのように最初は人口飼料に見向きもしない魚や採集した幼魚などにはこれを与えます。 大変に嗜好性の強い餌で殆どは興味を示してくれます。 魚が小さい場合にはあさりの身に切れ目を入れてあげてください。 殆どの場合朝夕一回位ずつの給餌で良いでしょう。 食べているのを確認したら3〜4日これを続けます。
 なお、この冷凍アサリを開いたものを通称「アサリポン」(← あくまでも通称)と言います。
冷凍したアサリ
アサリを食べるようになったら次の段階への準備をします。 これは冷凍したアサリを殻から外したものです。 これをいくつか用意します。 用意する量は魚の数と混ぜ込む飼料の割合よります。 何度か経験してみてください。 アサリを殻から出したら、これを包丁やナイフで細かく刻みます。 このとき、アサリが凍っていた方が圧倒的に刻みやすいのです。
刻んだアサリ
これがよく刻んだアサリの剥き身です。 私の場合は相当細かく刻みます。 包丁を使い凍った身を最初はザクザクと大まかに切り、次第に細かく切っていきます。 ある程度細かくしていくと凍った身から水分が出てきます。
人工飼料3割 人工飼料5割
これに人工飼料を混ぜ込みます。 左図は約3割、右図は5割です。 当然最初は割合を低くします。 1割から始めてもかまいません。 3〜4段階程度で10割人工飼料にすることを目標にします。 このときの飼料は海水魚の餌と称していればどのメーカーのものでも構いませんが、入手のしやすさや値段から決めてください。 また魚にあわせた大きさのものとしますが、一般的には小粒のもので良いでしょう。
  飼料を混ぜたものアサリの殻に戻したもの  

 左図は人工飼料を混ぜ込んだもので、適度に溶け出した水分で簡単に混ざります。 右図は混ぜ込んだものをアサリの殻に戻したものです。 このまま再び冷凍します。 アサリの殻はバラバラにしないほうが安定性がいいのでそのまま蝶番のついたままで使用します。 実際に魚に与える場合には凍ったままで構いませんからそのまま水槽に落とします。

レッドシーバナー


 左の画像はこのようにして作った餌をレッドシーバナーが食べている画像です。 なお、餌付ける場合のもう一つの大事な要素は環境です。 この画像でははっきりしませんが、この魚は飼育籠の中にいます。 そうしないと他の魚にあっという間にアサリや飼料を食べられてしまうからです。 最初はアサリに対しても魚は警戒していますので、自分ひとりだけでじっくりあさりや飼料を観察できる環境がほしいのです。 その為には別の水槽を用意するか、このような飼育籠が必要なのです。 この環境で完全に人工飼料を食べるようになったら他の魚といっしょにしましょう。

途中で魚が人工飼料入りのアサリを食べなくなることがあります。 そのときは素へ戻してやり直してみてください。 アサリを食べない場合には、冷凍のブラインシュリンプに代えてみてください。 何とか餌を食べてくれないことには始まりません。


初めての海水魚飼育 (01.06.27 ) 更新(01.07.21)

 たまにですが 「海水魚を飼ってみたいんだけど、どうすれば良い?」 との質問を受けることが有ります。人に教えるほどのものは何も無いのですが、今までの経験上からはこんな事をアドバイスするだろうな・・・と言うことをまとめてみました。 何かの参考になれば(?)幸いです・・・。

二つのケースを考えて書き進めていきます。
 ○ケース1は 「本格的に続けるかどうか良く分からない。 例えば、子供さんにせがまれて設置したい (直ぐ飽きるかもしれないけど)・・・」 というケース。
 ○ケース2は 「自分自身の趣味として少し頑張って海水魚飼育をやってみたい・・・」 というケースです。

◎水槽などの器具 (ケース1の場合)

  • ディスカウントショップの目玉商品の一つとして安売りされている規格水槽セットで良いと思います。大概は海水用では有りませんが、実際上は問題ありません。 水回りで電気器具を扱う場合の一般的な注意は勿論必要です。 たいがい、水槽 (60cmx32cmx30cm=57L) と蛍光灯、上部濾過装置、それ用の揚水ポンプとその他の水槽小物などがセットされています。 場合によってはサーモスタットとヒーターが付いているセットも有ります。 とても安値で売られることがあり、余分なものが付いていたり、逆に必要なものがセットされていないことを考えてもとてもリーズナブルです。 足りないものは順次買い揃えていきましょう。  ケース2の場合 & 濾過槽 01.02.27

    ◎水槽(ケース2の場合) 左図@

     水量が多いほど飼育は楽ですから、条件の許す範囲で大きな水槽を用意します。 最初の水槽ということで  60x45x45  の水槽を選ぶのも良い選択だと思います。 (私はこの大きさの水槽が好きです) これは規格品の水槽と同じ幅でありながら水量は2倍以上入ります。(60x45x45=121L) また規格水槽と同幅なので規格品用の蛍光灯やガラス蓋など色々なものを流用することができますし、見た目にコンパクトで部屋の中にも設置しやすい大きさです。

    ◎オーバーフロー加工(ケース2の場合) 左図A

    水槽にはオーバーフロー(O/F)加工をします。最初から加工されたものも有りますが、そうでなければショップに頼んで加工してもらいます。水槽購入前にその辺を確認してみてください。 O/Fにするのは大きな濾過空間と一層の水量増を狙うためです。 器用な人は自分でO/Fを工夫してもいいですし、市販の壁掛け型のO/Fボックスを利用してもかまいませんが、最初ですからここはショップに頼むか加工済みのものを利用しては如何でしょうか。 ガラス水槽なら素人加工は不可能ですし、アクリル水槽でも底面に穴をあけるとたぶん失敗すると思います。 こんなことでやる気が失せるのはつまらないことです。 O/Fはポンプで揚水した海水をパイプで自然落下させますから、当然、揚水量に対して十分なパイプの太さが必要です。
     なお、いろいろなショップやメーカーが海水魚飼育のために工夫した上部濾過器や外部濾過器を発売していますが、私自身使用したことが殆ど無いため、良し悪しはコメントできません。

    ◎濾過槽(ケース2の場合) 左図C およびA,B ケース2の場合 の物理濾過槽

     濾過能力と水量アップのため濾過槽を設けます。 専用に制作しても良いしショップで購入しても良いのですが、60cm規格水槽や衣装ケース、トロ箱、各種のプラボックス、カゴなどを工夫して手作りしても良いと思います。 濾材はサンゴ砂の大粒〜中粒を使用します。 水中に排出されるアンモニアなどを浄化するバクテリアはこの濾材の表面に多数発生します。 濾材と水の流れの関係ですが、濾過槽に仕切りなどを設けて海水が濾材中を流れる時間長くし、海水と濾材の接触を大きくとる方法 [左図(A)]と、濾材をできるだけ平面的に広げて、濾材の上面の濾過面積大きく取る方法 [左図(B)] が有ります。どちらが有効かはよく分かりません。 なお、Bは濾過槽手前に設置する物理濾過ボックス (食べ残しの餌など大きなゴミを取り除く)でウールなどを敷いておきます。

    ※少しだけ補足※
     ここでいう濾過バクテリアは 「好気性のバクテリア(その活動に酸素が必要なバクテリア)」 です。 そしてバクテリアは濾材の表面に多く着きます。 その為、Aでは仕切り板を設けることによって濾材の中の水の流れる距離を出来るだけ長くとり、水と濾材の接触面積を多く取ろうと考えています。 一方、バクテリアが好気性であることを主に考えると、濾材が濾過槽内の水面(=空気)に近いほうがバクテリアの発生密度は高く、濾材の奥のほう(下のほう)はバクテリアの発生が少なくなるということになります。 その為、出来るだけ水面に近い濾材の面積を大きくとって、その部分で濾材と海水の接触面積を多く取るように考えているのが B です。

    ◆ どちらが正解なんでしょう ◆

     どちらが正解なのかは私には分かりません。 実験したこともありませんし、実験しようとしても方法が見つかりません。結果的にどちらの方法でも魚が長く飼えればいいのでしょう。 どちらも可能です。

    ◎揚水用ポンプ(ケース2の場合) 図D

    濾過槽から本水槽へ水を揚水するためのポンプです。信頼できるメーカーのもので水量は15L/min以上有れば十分と思います。個人的には騒音、耐久性からエーハイムの水陸両用ポンプを使っています。揚水量は本水槽と濾過槽の高低差により変化しますので十分に能力を確認してください。

    ※少しだけ補足※
    IWAKI MAGNET PUMP ポンプの正しい選び方ってあるんでしょうか? 正解があるかはよく分かりませんが、一般的に考えられることを書いてみましょう。
     ポンプを使用する理由は水槽本体の海水を濾過槽に落として濾過するためです。 (実際にはO/Fですから、本体の水に濾過槽からの水を加えて溢れさせています) ポンプを適切に選ぶということは、水の循環を適切にして効率よく濾過をするということです。極端なケースを想像してみます。ポンプからの水が雫になって落ちるような場合です。 直感的に考えられるのは 「これでは水槽全体の水が濾過される(濾過槽を通る)のに何日もかかってしまう。 濾過より汚れるほうが早くて何の意味もない・・・」  実はここに一つの考え方があって、水槽全体(濾過槽や配管内にある水の量も含む)の水量をどれ位の時間で一巡させたいのか)によってポンプの能力を選ぶのです。 例えば、全水量が120Lあって1分間で一巡させたいと考えれば、ポンプは120L/minのものを選ぶのです。 これを一時間(60分)一巡と考えれば、2L/minのものを選べば良いと言うことです。 では、水の適正な循環の割合はどれくらいなのでしょうか? 分かりません!(← オイ、オイまたかい!) いろいろな人がいろいろな考えを持っていますので、どうぞ研究してみてください。 私の今の考えはすでに述べてあります。

     ポンプの性能は、1分当りの揚水量で表されます。 20L/min とか 15L/min で書かれています。 ただし、これはそのポンプの最大揚水量であって、汲み上げる側の水面と排水する側の水面が全くの同一水平面上にある場合、つまり高低差ゼロの場合の能力です。 これは非現実的なケースで、実際には濾過槽から本水槽に水を汲み上げよう(押し上げよう)とするのですから必ず高低差があります。 そうすると、その揚水量は二次曲線的に低下していきます。 自分の造ろうとする水槽設備において、どれくらいの高低差があるのかを考えることはとても重要になります。 実際にどれ位の能力ダウンになるかはポンプの説明書や外箱に印刷された解説で確認します (きちんとしたものには高低差と揚水量のグラフが付いています)。
     ポンプの能力 (揚水量)を下げる要因は高低差の他にもあります。 例えば配管の状態。 エルボーがやたらと多い配管をするとそれらは抵抗になり揚水量は減りますし、運転していくうちに配管につく苔や汚れも抵抗になります。 殺菌等など他の器具を設置するとそれらは全て抵抗になります。 50Hz/60Hz両用のものでは当然能力に差が出てます(50Hzの方が低い。これは必然的なもので仕方がないのですが)。 これらを考慮すると、必要と思うポンプ能力の五割増くらいのものを用意すると考えたららどうでしょうか。
     なお、ここでの話のポンプは海水専用または海水・淡水両用のものを選んでください。 またケース@に付属するポンプについてはこれらのポンプ性能は殆どかかれていませんので、付属のものをそのまま使用します。

    ◎殺菌灯(ケース2の場合) 図E 殺菌灯 レイシー UVF20

     個人的には殺菌灯の効力を有効なものと思っています。 殺菌灯はある特定の波長 (白点病虫を死滅させる特定の波長) を持つ紫外線を発生する放電管を器具内に設置し、さらにそれを囲んだガラス管や石英管の外に海水をとおし、海水に紫外線を照射することにより、海水に含まれる病原菌を死滅させます。 紫外線は苔発生の制御にも役立つようです。 最近は放電管がコンパクト(U字型管)で長寿命(8,000時間)になり価格も大分安くなっています。
     購入するときの注意点をいくつか書いてみます。 殺菌灯自体は4〜5社のメーカーから発売されていますが、仕様書をよく読むと、使用している(紫外線を発生する)蛍光管は同じP社のものです。 ということは、基本的な効力は同じと言うことですから、値段や形状で選んでかまいません。 特に入水孔と出水孔の位置は良く考えないと配管に手間取ります。 全水量に合わせて効力のあるものを選んでください。 設置する位置は揚水ポンプの後、本水槽の手前になります。 濾過された一番綺麗な水の通るところになります。 ここの位置なら汚れによる紫外線の拡散や石英管に傷が付くことが抑えられます。

    ※少しだけ補足※殺菌灯 カミハタ UVCMAX2537
     一時、ポンプ性能と殺菌灯の効果について気になって調べたことがあります。 何が気になったかと言うと、ポンプの能力が高すぎると殺菌灯内に海水が流れる時間が短くなって病原菌が死滅せずに素通りしてしまうのではないかということです。 ある程度の時間紫外線を浴びなくてはいけないのではないかと思ったわけです。 調べると言っても、結局はあるメーカーのFAQを読んでみたのですが、結果的にポンプ能力が高すぎてこのような現象が起きることはないとのことです。 それくらい短時間で有効であるということです。 逆にあまり能力のないポンプだと本体に戻った海水が長く水槽にあるため、その間に病原菌が再発生して効果を得られないことが考えられるそうです。 

    ◎蛍光灯(ケース2の場合) 図F 二灯式蛍光灯 アルミシートつき

     海水魚を飼育するためでしたら蛍光灯は特殊なものである必要は全くありません。 極普通の二灯式か一灯式で十分です。 60cm幅の水槽ならば値段も手ごろで多数売られています。 90cm幅の水槽ですとだいぶ高価になります。 120cm幅位まではショップで普通に購入できます。 蛍光灯を水槽の縁に乗せて使用する場合には、海水の飛沫がかからないようにガラス蓋を下に置いたりして注意してください。 前にも書きましたが、蛍光灯の反射板側全体に、水除けと反射率向上のために幅広のアルミテープを貼り付けることも良いと思います
    ◎買い足すもの(共通) 比重計2種 濾過バクテリア
    海水の保温および維持のためにサーモスタットとヒーター、水温計を用意します。 サーモは一昔前にはバイメタルのものが殆どでしたが、最近は見られず、電子式になりました。 設定のしやすさからなどから電子式の方がお勧めです。 水温計も多種ありますので好みで選んでください。 
     濾過用の中粒〜大粒のサンゴ砂を濾過槽に合わせた量用意します。 ケース1の上置きには中粒を、ケース2の濾過槽には大粒〜中粒を用意します。 サンゴ砂以外にも色々な濾材が発売されていますが、オーソドックスなサンゴ砂で十分かと思います。 ケース1の場合 水槽セットには資格のウールマットがついていると思いますが、これは薄くして上置きろ過槽のごみ取り用にします。
     海水の素と比重計も用意します。 良好な天然海水が手に入る場合は海水の素は不要ですが、殆どの場合必要になると思います。 海水魚飼育に限ればメーカーは問いません。 塩分濃度を測るために比重形が必要です。 以前はボーメ計(左の図の右側)が一般的でしたが、最近は指針式のもの(左側)が一般的です。
     濾過用バクテリアの素は有った方が手軽ですし、御まじないとしても有効です。

    ※少しだけ補足※
     比重計については当初ボーメ計を使用していましたが、直ぐに指針式にかえました。 考えると分かるのですが、比重を計るときは例えばバケツなどで海水の素を溶かした後です。このときには塩が良く溶けるように水をかき回した後ですから、水が動いています。 ここにボーメ計を入れると、水流によって流れてしまいメモリが読めないのです。 指で抑えては正しいメモリが読めません。 水槽の水の比重を確認するときにもO/Fで水は動いていますから旨くメモリが読めません。 それにしてもこの指針式は何でこんなに高いのでしょうか? 単純なものなのに。 どなたか手作りのものを工夫してもらえませんか? 


    ◎水槽の設置(共通)

     水槽の設置自体は難しいものでは有りませんのでどなたでもできると思います。但し海水を入れた重量が60kg(60x45x45の場合は130kg)を超えますので、安定した置き場所を選んでください。TVキャビネットや下駄箱の上に乗せたい場合にはその強度を十分確認してからにしてください。後々の歪みなどを考えると市販の水槽台を買うのも良いでしょうし、手作りするのも良いでしょう。 60x30x32 の水槽台は時として一般のホームセンターなどでも安売りをすることがありますが、それ以外の台はショップで購入します。 ケース1の場合までは下駄箱の上に置いたことがありますが、それ以上のものは多分無理だと思います。 また置き場所は直射日光の当たらない所にしてください。 これは急激な水温の上昇と苔の発生を防ぐためです。 特にケース1の場合は思いのほか高温になってしまいます。 一般的に水温の上限は33℃位にしたいものです.。 逆に冬場のことを考えると、温度の下がり過ぎも要注意でしょう。 その為にも玄関に置いたりするのは出来るだけやめたほうが良いと思います。 また、電気コンセントが近くにあることも必要です。 今まで紹介した中でも沢山の電気器具を使用しています。 海水の取替えを考えると水場に近いことも考慮できたらベストでしょう。


    ◎濾材のセット(共通)
     濾材に使用するサンゴ砂(大〜中粒)は十分に水洗いして汚れを落として起きます。 
    ケース1の場合には上置きの濾過槽に入れ、一番上にはごみ取りのためにウールを一枚敷いて起きます。
    ケース2の場合も同様ですが、濾過槽が大きいのでサンゴ砂を洗濯ネットなどに分割しておくと後でメンテが楽になります。


    ◎海水の用意(共通)

    海水の素

     海水の素を準備します。 メーカーは何処でも構いません。 いま、ショップで購入できる海水の素は一般的な海水魚を飼育するには十分なレベルに達していると思います。 海水の素を決められた方法で水に溶かします。 この時、水はカルキ抜きをしておいた方が良いです。また比重は 1.023 前後にしますが極端に気にすることは有りません。 できた海水を水槽に注ぎ込みますが、この時に電気関係の器具はまだ取り付けずにおいてください。 底砂は好みで入れても入れなくとも構わないと思いますが、真っ白いままで砂をキープするのは至難の業ですからその点は諦めてください。 底砂は海水魚飼育の場合、パウダーサンゴ砂を用いる人が多いようです。 十分に水洗いをしてから入れてください。

    ※少しだけ補足※
     自分が海水を作るときに使用する海水の素を溶かすバケツ等と海水の素を入れるコップ等を決めておくと、何度かやっているうちに一々比重計を使わなくとも適正な比重も海水を作ることが出来るようになります。 私の場合は18Lのバケツに9割方水を入れたとき、いつもコーヒーを飲んでいるマグカップ1杯の海水の素で丁度1.023になります。 正確に言うと、水温によって海水の比重は変わるので、水温を考慮しないと正確な海水は出来ないのですが、そこまで気にする必要は全くありません。 なお、当然サーモで設定した水温に近い温度の水で海水を作ったほうが余計な電気を使わなくてすみます。


    ◎配管(ケース2)

    ホース配管 ホース配管

     ケース1の場合には配管と呼ぶような部分はありません。
    ケース2の場合にはポンプから殺菌灯そしてオーバーフローへの配管が考えられます。 一般的には直線の塩ビ管とL型の塩ビ管を使って配管する人が多いようですが(?)、私の場合には殆どホースを使っています。 ホースを使う理由には内径がいろいろ揃っていて器具の計に合うものが必ず見つかること、基本的に円を描くように繋ぐので水の抵抗が小さくなること、切断が簡単で微妙な長さの調節が簡単なこと等があります。 逆に良くない点としては円を描くようにするので容積をとる場合があることぐらいでしょう。でも、あまり円を小さくするとホースが潰れてしまいます。 

    ◎試運転 (共通) シールテープ

     濾過槽をセットしてポンプを動かします。 この時海水に濡れた手でコンセントの抜き差し等をしないようにクレグレモ注意してください。 暫く海水は濁っていますがすぐに透明に成ります。
    ケース1の場合に特に注意する点はありませんが、ケース2の場合はパイプの繋ぎ目から水が滲んでこないか時間をかけて確認してください。 もし海水がにじんでくるようでしたら、専用の接着剤、ビニルテープや水道工事用のシールテープをつかって水漏れを手当てしてください。 シールテープはホームセンターなどで容易に手に入ります。 水漏れ修理にはとても役に立ちますので準備しておいてください。 テープは少し引張りながらハーフラップで巻いていきます。

    ◎電気器具等のチェック (共通)

     ポンプが問題なく動いていて水が濾過槽に出てきているか。 モーターから異音や振動音がしないかを確認してください。 蛍光灯のスイッチも入れてみてください。 点灯しない時は蛍光管の両端の差込部分を確認してください。 また蛍光燈の下にはガラス板を置いたり、ラップでくるんだりして海水が掛からないように気を付けてください。 経験上、漏電を起こすのはポンプより蛍光燈であることの方が圧倒的に多いのです。 蛍光燈の両端の差込部をテープで巻いたりするのも有効ですし、反射が良くなるのも期待してアルミテープを蛍光灯の内側全体に張りつけたりするのも有効です。

    ◎水温について(共通)

     水温は25℃前後ですが経験上プラマイ5℃くらいは大丈夫です(極端に水温に敏感な魚もいますが)。 サーモを付けた場合には25℃セットで良いでしょう。
     これだけの電気器具を使うために出来れば専用のタップを購入しておくと後々も含めて重宝します。 1500W6極位であれば当面は大丈夫でしょう。 値段は割高になりますが、各々のコンセントにスイッチのついたものを用意すれば一層使い勝手は良くなります。


    ◎エアポンプを設置した場合(共通)

     水槽にエアを供給する目的などでエアポンプを設置した場合にはエアで飛散する水滴に注意してください。 蛍光灯の真下などに設置した場合には必ず水滴除けを置いておかないとすぐに蛍光灯から漏電します。

    ◎飾り石など(共通) 岩組み1 岩組み2種

     市販の飾り石やサンゴなどを水槽に入れると雰囲気が出て大変に良いものですし、入れる魚によっては隠れ家にもなるのでとても大事なものです。 但し、以下の点にも気を付けていれてください。 入れた石の分だけ海水の量は減ってしまうこと、必ず苔が生えてきて当初の奇麗さを保ち続けることは出来ないこと。 飾り石はショップで買うのではなく海岸で形の良いものを拾ってくるのも良いでしょう。



    ◎濾過バクテリアの投入(共通)

    濾過槽のバクテリアは最初にバクテリアの餌が無くては発生しません。 つまり魚を先に入れておかなくては発生増殖しないのです。 という事は最初に入れた魚はバクテリアの濾過の無い水で生きていかなくてはなりません。 これはとても不安定な危ない状態です。 これを補うために市販の濾過バクテリアの素を入れて、自然にバクテリアが発生するまでの繋ぎと考えます。 バクテリアの素は市販されているものが沢山有りますが、個人的には値段も手ごろなPSBで良いと思っています。

    ◎魚の導入(共通)

     魚を入れましょう。 一般的には、最初の魚は餌食いが良く、丈夫で奇麗なスズメダイなどが良いと紹介されています。 他の魚についても私なりの考えを書いてみます。
    スズメダイ類 大きさも手頃、値段も手ごろ且つブルー系統を中心に奇麗な種類が多いことでなかなか良い選択だと思いますが、縄張り意識が強すぎるので複数飼育は出来ないのが欠点です。 ただしデバスズメダイは例外的に複数飼育が可能です。
    ◎代表的なスズメダイ
      ルリスズメダイ、シルキルリスズメダイ、クマノミ類、ミスジリュウキュウスズメダイ、デバスズメダイ 
    ベ ラ ショップでの数は少ないが大きくならなく奇麗な種類も見つけることが出来る。 餌ぐいも良く、基本的には喧嘩も余りしない(外国産には気の荒いのが多い)し、丈夫である。
    ◎代表的なベラ
      ホンソメワケベラ、コガネキュウセン、ノドグロベラ
    チョウチョウウオ類 いかにも海水魚らしく奇麗で優雅である。 しかし、餌付けが難しく白点病の発生があるなど最初の飼育は難しい。
    ◎代表的なチョウチョウウオ
      雑食種−−−トゲ、チョウハン、アケボノ、セグロ、フウライ他
      ポリプ食−−−ヤリカタギ、ミカド、ミスジ、ヤスジ他
    ヤッコ類 丈夫で貫禄があるが、餌付けにやや難しいものもあるし、基本的には大きくなる種類である。
    ◎代表的なヤッコ類
      サザナミ、タテジマ、ワヌケ、フレンチ、クイーン


    ◎お勧めの魚(共通)

    例えば子供さんのおねだりで準備を始めたのであれば、出来るだけその希望の魚を入れてあげるべきだと思います。 色々難しいからと理屈を言って魚を選んだとしても、本末転倒で本来の目的 (子供さんが喜ぶこと) は達成されませんから。 チョウチョウウオ類を望まれたら、それはそれは大変ですが・・・。 それが無いのであれば、単独のスズメダイと小さなベラとの組み合わせ。 またはデバスズメダイを5〜6匹。 あるいは磯で採集したカゴカキダイやギンユゴイ等も十分鑑賞にたえると思います。 いずれにしても濾過バクテリアの繁殖を目的とした魚ですからある程度の数 (数匹) で押えておきましょう。
     魚はビニル袋に酸素とともに入れて渡してくれます。 いきなりドバドバっと水槽に入れないで、袋のまま暫く浮かせておきます。 水温差が徐々になくなって、魚を放した時のショックが小さくて済みます。 さらに袋の口をあけ、数回に分けて水槽の水を袋に入れます。 水槽の水に徐々に慣らすわけです。 それから静かに水槽に放します。 魚は水槽に入れると警戒して物陰に隠れてしまうものもいますが、大概はすぐに水槽になれて泳ぎだします。 あまり驚かせないようにしましょう。

    ※少しだけ補足※
     非常に稀な事ですが、魚を水槽に入れた途端または数時間で魚が死んでしまうことがあります。 原因は水質の違いによるショック死か、ショップにいるときに相当弱っていたためです。 そのような時には残念ながら諦めてください。 決してショップにクレームをつけないようにしてください。 ショップは絶対に交換には応じません。 ショップで魚を受け取ったその瞬間から魚の生死は購入者の責任です。 お間違えにならないように・・・。


    ◎最初の餌遣り(共通)

    人工飼料 テトラ

    水槽に入れた魚にすぐに餌を与えても食べないことが多いものです。半日くらい時間を置いてから最初の餌を与えても構いません。餌は市販のものならなんでも構いません。フレークや顆粒状と呼ばれるのもが手ごろで便利です。


    ◎餌をどうしても食べない場合(共通)

     お勧めの魚として紹介した魚ならば間違いなく餌を食べると思いますが、どうしても食べない場合には冷凍のブラインシュリンプや冷凍したアサリの口を開いて与えてください。殆ど食べます。 そしてその後徐々に人工餌に切り替えてあげてください。


    ◎チョウチョウウオやヤッコを最初から入れた場合(共通)

     ヤッコを最初の魚としていれた場合には十分な注意が必要です。 水温、水質はあわせは同じようにしますが、餌は殆どの場合食べないと思います。 特にある程度大きくなった魚の場合は顕著です。 その場合はここにあるチョウチョウウオの餌付け方法を参考にしてみてください。 気長にやると食べてくれるようになります。
    同様にチョウチョウウオを入れた場合にはもっと注意が必要です。まず食性の確認です。食性には大きく分けて雑食性とポリプ食性の二つが有ります。雑食性はなんでも食べますが、ポリプ食性の魚はサンゴのポリプを食べますので餌付けは相当困難です。 こちらのグループ(ヤリカタギ、ミカド、)は本当は最初の魚としては止めておいた方が賢明です。 雑食性のグループ(トゲ、チョウハン、)はなんでも食べますが、いきなり人工の餌を与えても殆どは食べてくれません。 自然の餌になれてしまっているからです。 やはり、ここを参考にしてアサリから次第に切り替えてやってください。


    ◎メンテナンス(共通)

    sその他 硫酸銅など

     立ち上げた水槽は暫くすると苔が生えてきます。 色々な色・形状の苔が生えてきます。 ガラス面にうっすらと付くもの、砂の上などにベタっと付くもの色々です。 経験上、濾過が安定するまでは特に苔の発生が多いようです。 観賞用ですからティッシュやサイホンホースなどで掃除してください。 また最低でも月1回は海水を部分交換してください。 小さな水槽ほど水替えの回数は多くなります。 ただし、この場合も全量を交換するのではなく半分くらいまでにしておきます。 入れ替える水はカルキ抜きと比重あわせをおこない、水槽の水と同温または若干高めにしてください。 この時バクテリアの素も追加します。
     水槽立ち上げ当初は特に魚の様子に気を付けてください。 魚をじっくり見ることが魚を長く飼うコツかもしれません。 餌の食べ具合、泳ぎ方、体表の状態を見てあげてください。 特にチョウチョウウオを入れた時の白点病の発生には気を付けてください。 薬の使い方などはここを参照してください (ここでは硫酸銅を使った白点病の治療のことが書いてありますが、ショップには硫酸銅に代わる治療薬が多数揃ってますので、それらを使う方が便利かもしれません)。 その他の病気は専門書を参考にしてください。小さな水槽では水温の上限にも気を付けます。熱帯の魚とは言え33℃を超えると危険です。

    ※少しだけ補足※
     海水魚飼育はイコール、メンテナンスともいえます。 ここまで書いてきた導入時の諸々は一度しかないことともいえます。 それから先は全てメンテナンスと言うことになります。 水替え、魚の追加、器具の追加、濾材の清掃・・・・・・・・。手を入れようとすれば幾らでも手がかかります。 しかし、世の中にはできるだけ弄らないのがメンテナンスという人もいます。 いずれにせよメンテナンスについては少し書いてみたいこともありますので、頁を改めてまとめてみたいと思います。


    ◎蛇足

    いかに道具を揃えようとも、お金を掛けようとも海水魚を最初から完璧に飼育することはできません。 何匹かあるいは全部が☆になってしまうことも有ります。 今のところ、こうすれば海水魚は間違いなく飼育できるという方法は有りません。 そんな時、大人はともかく、小さな子供さんにせがまれて魚を飼いはじめた時は☆になったと言うことを気を付けて説明してあげてください。 子供は死ぬと言うことを理解していません。 そんな子供に死ぬと言うことを説明しするのはとても難しいものだと思います。 死んだ魚を子供の目に付かないようにそっと処分してしまうのも一つの方法。 生き物は死ぬものだと言って聞かせるのも一つの方法かも知れません。 どういう方法が良いかは分かりません。 お任せします。


    ライブロック観察 (2001.02.04)

     ライブロックについた不思議なもの 01.02.05
     先日、通販でライブロックを一つ購入しました。 そして昨日もう一つ近くのショップでライブロックを購入しました。上の写真が通販で購入した方のライブロックです。この石を良く見ると何か茶色の小判型のものが付着していました。(黄色の丸の中) 何か生き物かと思い、いろいろ調べてみましたが良く分かりません。 強いてあげれば、ハナガタサンゴに似ているような気もしますが、このものは全く姿を変化させないので生きているのかすら分かりません。 このライブロックには他にも面白いものが付いていて、例えば、写真の上部には何かサンゴの死骸のような緑色をした穴の沢山空いた石のようなものが見えます。多分これは、ハナガササンゴのようなタイプのサンゴの骨格ではないでしょうか。 また、写真には出てきていませんが、反対側の面には赤い風船のような、アワサンゴのポリプが一つだけくっ付いたようなものもいたりします。 こうしてみるとライブロックは海の一部を切り取ってきたような面白さがあります。
    ライブロックについた不思議なもの 01.02.05

     という訳で、今日は水槽の前に椅子を持ってきて座り込み、昨日買ってきたライブロックを繁々と眺めてみました。(下の写真がそうです) 中々面白いものが見えました。 まず、写真でも分かるように頂上に赤紫の海藻が生えています。 勿論名前などは全然分かりません。 そして、岩の表面には一面に白い小さなふさが生えています。(水色の丸の中) ふさと言うより見た目には、タンポポンの綿毛が無数に岩から生えているような感じです。ただ、この綿毛は夜には引っ込んでしまいますので、ケヤリの極小さな仲間かもしれません。そのほかには、黒緑のまあるい玉のような、ちょっと固そうなマリモみたいに見えるものが5個ほど。ケヤリの鰓管が二本(中身はいないようです)。石の表面の小さな穴の一つからは、蟹か何かがこちらを覗いているのも分かりました。貝の極小さなものらしいくちばしも見つけました。 そのほか、海藻の新芽のようなものも沢山ついていました。 これらを見ているだけで時間がどんどん過ぎてしまいました。

     さて、これらの生き物ですが、なんと言っても私の水槽ですから、そんなに長生きさせてやることは出来ないかもしれません。 それが残念です。